ハンガリーにおけるEVバッテリー産業:EV産業集積地として注目されるハンガリーと日系企業の進出【2022年版】

そもそもEVバッテリーとは?

EVは、「Electric Vehicle」の略で電気自動車のことで、バッテリーは、電池のことなので、これらから、自宅や充電スタンドなどで車載バッテリーに充電ができる電池のことをさすことが分かります。通常は二次電池であり、リチウムイオン二次電池が一般的です。

ハンガリーは、スズキ(1991年)とオペル(1992年)の進出で自動車産業が盛んになり、中東欧地域(CEE)で最初にe-モビリティの概念を導入したことで知られています。
現在、ハンガリーはバッテリー製造の可用性を高めるために直接的および間接的なインセンティブを提供し、ヨーロッパで最大のEVバッテリー生産国になりつつあります。また、ハンガリーは、その専門知識、生産性、地理的有利性、競争力のある生産コストを活用し、ヨーロッパで最も魅力的な自動車関連投資先のひとつに成長しています。

自動車産業のEV化でバッテリーの需要が高まり

2016年頃より、欧州の主要国は2030〜2040年の間のガソリン車販売禁止を相次いで発表したことにより、グローバル展開している自動車メーカー各社は、EVモデルを次々と発表しました。
欧州自動車工業会(ACEA)は、2月2日、EU26カ国(マルタを除く)の2021年の乗用車の燃料タイプ別の新車登録台数のシェアを発表し、ガソリン車(全体の40.0%)とディーゼル車(19.6%)は合わせると全体の約6割 (ブルーゾーン)を占めたものの、登録台数はそれぞれ前年比17.8%減、31.5%減。対照的に、ハイブリッド車と電気自動車(EV)の全体に占める割合は37.6% (オレンジゾーン)と、前年から15ポイント以上上昇しました。ハイブリッド式EV(HEV)は19.6%、バッテリー式EV(BEV)は9.1%、プラグインハイブリッド車(PHEV)は8.9%で、さらにEVバッテリーの需要が高まることが予想されます。また、現在、中国は世界のリチウムイオン電池(LIB)の容量を支配しており、2020年には77%を占めているが、近年、特にヨーロッパでは、より多くの国がLIB生産国になるにつれて、地理的な多様化が進むと予想され、LIBキャパシティのヨーロッパのシェアは2020年の6%から2025年には25%に増加し、中国の予測シェアは65%に低下すると予測しています。

ハンガリーにおけるEVバッテリー産業:2021年の乗用車の燃料タイプ別の新車登録台数のシェア

2021年の乗用車の燃料タイプ別の新車登録台数のシェア


ハンガリーに近年多くのバッテリー製造会社が進出

韓国企業、LG化学はポーランドに、サムスンSDI、SKイノベーションはハンガリーにいち早く欧州市場に目をつけ生産拠点を設けています。さらに、正極材や電解液といったリチウムイオン電池の部材を供給する韓国メーカーも進出しており、欧州自動車メーカーへの電池供給体制を築きあげています。日系企業も韓国を追う形で GS ユアサがハンガリーにリチウムイオン電池の工場を、東レがリチウムイオン電池の部材であるセパレータフィルムの工場を設立しています。

なぜ、ハンガリーではEV関連の投資が進んでいるのでしょうか?

ハンガリーに進出を決めた大きな要因になったのは、賃金が西欧諸国に比べて安かったこと、そして自動車産業の一大集積地であるドイツおよびチェコそしてスロバキアに近く、物流の面でも利便性が良いことです。加えて、ハンガリー政府による積極的な誘致政策や質の高い労働力の存在が考えられます。ハンガリーは国内産業の高度化を目指し、電気自動車を含む特定業種への外資奨励策を実施しています。

例えば、自動車産業に対して、返済不要の補助金や法人税の一部免除などを行っており、東レのセパレータフィルム工場新設においては、 ハンガリー政府は47億フォリントの補助金を提供するとしています。加えて、バッテリーメーカーなどの高付加価値産業をより積極的に誘致しています。また、教育水準が高く、エンジニア人材も豊富であるとされています。

ハンガリーに進出した日系企業の紹介
株式会社 GSユアサ
ハンガリーにおけるEVバッテリー産業:株式会社GSユアサ

「GS Yuasa Magyarország Kft.」 出典:villanyautok.hu

株式会社GSユアサ(社長:村尾修、本社:京都市南区)はハンガリー、ミシュコルツ市に2017年10月に設立した100%子会社GS Yuasa Hungary Ltd.(ジーエス・ユアサ ハンガリー)において、自動車用12Vリチウムイオンバッテリーの新工場を2019年10月、稼働させ、欧州自動車メーカーへの出荷を開始しました。欧州において需要拡大が見込まれている自動車用12Vリチウムイオンバッテリーを新工場では供給するため、当社最新の自動化された生産ラインを導入し、日本で製造したリチウムイオンセルを組み立て、バッテリーを製造します。新工場の初期年間生産能力は50万個です。

東レ株式会社
ハンガリーにおけるEVバッテリー産業:東レ株式会社

「Toray Industries Hungary Kft.」 出典:東レ

東レ株式会社(代表取締役社長:日覺 昭廣、本社:東京都中央区。)は、ハンガリーのニェルゲシュウイファル市において、リチウムイオン二次電池(LiB)用バッテリーセパレータフィルム(BSF)生産設備の新設を決定し、新たな生産設備は2018年4月に設立した「東レハンガリー」(英語名:「Toray Industries Hungary Kft.、略称:THU」)に設置し、これによって東レグループ全体のBSF生産能力は年産約20%増強となります。

 

出典

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.