フランスのStellantisと中国のLeapmotorによる合弁事業が、新型SUV「Leapmotor B10」の生産拠点を当初予定していたポーランドから変更した。現在、ドイツ・アイゼナハ市およびスロバキア・トルナヴァ市を候補地として検討している。
この決断は、中国政府が国内自動車メーカーに対し、ヨーロッパ諸国での大規模投資を控えるよう指示したことを受けたという。これは、中国製電気自動車(EV)に追加関税を課すEUの措置を支持した国々への対応とされる。ポーランドが関税を支持する一方、スロバキアを含む5つのEU加盟国は反対している。関税の対象となる中国メーカーは、中国政府の補助金によって低価格のEVを供給している。
トルナヴァ工場が新生産ラインを獲得すれば、同施設初の非ヨーロッパブランドのプロジェクトとなる。現在はフランスのプジョーやシトロエン、最近ではドイツの小型SUV「オペル・フロンテラ」を生産している。また、新ラインの獲得は、トルナヴァ工場が電気自動車生産への移行で国内他メーカーをリードしていることを示すことにもなると考えられる。
3,500人を雇用するトルナヴァ工場は、昨年、電気自動車向けの生産ライン改修のため、売上が37億ユーロから33億ユーロに減少。しかし、パンデミック後の回復に伴う車両価格の上昇により、利益は3,400万ユーロから5,700万ユーロに増加した。
さらに、トルナヴァ工場とジリナ市のキア工場は、主にヨーロッパ市場向けの小型・中型車を生産しており、ブラスチラバのフォルクスワーゲン工場やニトラのJaguar Land Rover工場に比べ、米国や中国向け輸出に課される潜在的な関税の影響を受けにくい。一方、ブラスチラバとニトラで生産される高級SUVは、米国や中国向け輸出が多く、これらの関税に対する脆弱性が高い。
Leapmotorは設立から10年足らずで急速に成長し、Stellantisとの提携を通じてヨーロッパ市場での存在感を拡大している。昨年設立された合弁事業では、Stellantisが51%の株式を保有している。
ポーランド・ティヒ市のStellantis工場では、現在、中国製部品を使用した小型電気モデル「T03」を生産中。ただし、この生産も危機に直面しているかどうかはまだ明らかになっていない。