ジェトロは、ハンガリー輸入業者を中心に、国際的な多国籍企業も会員として参加する、ハンガリー関税協会のトルネーネ・DR・トース・ベロニカ事務局長に、発効から1年たった日EU経済連携協定(EPA)の活用状況について聞いた(2月12日)。
トルネーネ事務局長によれば、関税協会会員にこのほどアンケート調査したところ、輸出よりも輸入での日EU・EPAの利用が中心なことが明らかになったという。日EU・EPAはおおむね問題なく利用されているが、会員アンケート結果を踏まえて、日本の輸出者に対しての利用時の留意点として、以下を指摘した。
- 輸出者が原産性の自己申告を作成する際に記載される日本企業の法人番号について、ハンガリー税関では英語サイトを参照する。しかし、日本語サイトには記載されているが、英語サイトに記載されておらず、ハンガリー税関が受け付けなかったケースがあった。このケースでは、その後の日本側輸出業者とのやり取りで、時間はかかったものの、国際的な日本企業であっても、日本語サイトには記載があるが、英語サイトには記載がない場合があることが確認され、法人番号の照会ができた。
- 日本の国際的な企業にもかかわらず、特恵関税の申告文が日本語のケースがあるが、英語が望ましい。
- ハンガリーでは、2004年5月のEU加盟により、EU域内貿易での関税手続きがなくなり、通関業者が不要になるとの認識が当時広がり、EU加盟から10年程度、通関の専門業者が減った時期がある。しかし、EU加盟後も通関業務が必要であることが認識され、今では専門サービスを提供できる企業も増えた。日EU・EPAの利用においては、こうした専門サービスをぜひ、利用していただきたい。
上記の指摘を踏まえて、法人番号の英語サイトへの登録は任意とされているが、日EU・EPAの利用に当たっては、照会などにかかる時間やリスクを回避するためには、英語サイトにも登録しておくことが望ましいだろう。また、原産性の申告文は協定上、日本語でも認められているため、受け付けてもらえないことはないが、英語で書くことが望まれている。もう1点は、EU側輸入者の対応だが、輸入手続きに精通した専門サービス提供企業を上手に活用することも重要な点だ。ダイヤモンド電機のハンガリー拠点でも、パートナーとなる物流企業の重要性について指摘された(2020年3月3日記事参照)。
また、ハンガリー側の輸入業者において、輸出者側の日EU・EPAに関する知識が十分でないと感じているケースがあるとのことだった。ジェトロでは日EU・EPAの活用のための特集ページをウェブサイト上で公表している。特恵関税の活用解説書(5.8MB)やセミナー案内もしているため、これから利用されようとしている方も含めてぜひ活用してほしい。
(田中晋)
出所: https://www.jetro.go.jp